コミッショナーノート

【参考にしてください】


第1章 地区コミッショナ−

1.コミッショナ−とは

  (1) すべてのコミッショナ−が持つ共通の任務と責任

現在の日本連盟の組織において,コミッショナ−という名称で呼ばれる指導者の役務には,総コミッショナ−,国際コミッショナ−,県コミッショナ−,地区コミッショナ−および小地区コミッショナ−がある。そこには,これら一連のコミッショナ−に共通するいくつかの任務と責任があることを,われわれはまず第一に銘記しておかなければならない。

すべてのコミッショナ−の持つ共通任務を一口でいえば,「日本連盟の方針および規定にしたがい,つねにスカウト運動の基準を維持し,その純正な発展を図る」ということである。すなわち,コミッショナ−という仕事は,スカウト運動の基準を維持するための,いわば゛守り手″としての任務と,スカウティングの推進発展を図るための゛担い手″としての任務との2つなのである。

また,就任の過程から要請される責任についても,考えてみる必要がある。コミッショナ−が選出されるまでの手続は,単なる一定の決議にもとずくものではなく,すべてのコミッショナ−に共通して「推薦」→「議決(承認)」→ 「委嘱」(総コミッショナ−・国際コミッショナ−・県コミッショナ−は総長が,地区コミッショナ−・小地区コミッショナ−は県連盟長が委嘱を行う)という過程を経て行われるものである。

このことからわかるように,コミッショナ−という役務は,一定の資格をもっているものに対してのみ与えられる名誉ある役務である。

それだけに,その責任は重い。ひとたび,コミッショナ−に委嘱されて就任した者は,このことを深く心に刻み,その期待に十分こたえるだけの努力をしなければならない。

2.地区コミッショナ−に要請される能力と資質

地区コミッショナ−として,何が要請されるかを端的にいえば,教育規定322条「地区コミッショナ−の資格」を有し,それぞれの任務を遂行していくに足る能 力や資質を持っているということにつきる。

では,具体的に地区コミッショナ−はどのような能力や資質が必要なのであろか。それは,次に示すいくつかの条件を満たすものである。

教育規定

規5−22 地区コミッショナ−の推薦に当たっては,次のことを考慮する。

(1) 青少年の訓育を託するに足る品性及び経歴

(2) スカウト運動の経験及び基準の理解

(3) 地区内の教育指導にたずさわる指導者を主導する能力

(4) コミッショナ−研修所を修了した者,あるいは県連盟がこれと同等の資質と経験を有すると認めた者

(5) 前号の県連盟が同等と認めた者は,就任後速やかにコミッショナ−研修所を修了することが望ましい。

 (1) 品 性

第一に「青少年の訓練を託するに足る品性」の持ち主でなければならない。それでは,その品性は何かといえば,まさしく゛ちかい”の実践を通して培われたスカウトらしい円満な人格にほかならない。しかし,それは完成された人格を必ずしも意味するものではない。現実的には,むしろ,それはコミッショナ−自身がいかに自己の人格を高めるかに努力している姿の中に求められるものである。

(2) 身体的健康

単に病気をしないという程度ではなく,実際の野外生活にも耐え得る身体的強健さが望まれる。

(3) 社会的信望

コミッショナ−の仕事が,成人のボランティア活動である以上,安定した生活を送っていることが,その就任の前提条件である。同時に,スカウト仲間のみならず,近隣や地域社会においても,社会的信望を持つ人でなければならない。

(4) スカウティングに対する情熱

この面では,特に2つのことが強く望まれる。

@ スカウティングに対する忠節心を持つこと

A 自分に与えられたコミッショナ−という仕事に対して誇りと情熱を持つこと

(5) 過去の経験と実績

コミッショナ−の職責上,スカウティングの各分野において,相当程度の経験が要求されよう。それには,次のような分野がある。

@ 少年時代におけるスカウトとしての活動

A 隊指導者としての活動

B 小地区コミッショナ−,地区副コミッショナ−等としての活動

C 地区,県連盟におけるコミッショナ−以外の奉仕歴

  D 各種指導者訓練機関の修了

E コミッショナ−研修所の修了

(6) 専門的知識・技能

コミッショナ−は,いわば,「スカウティングを正しく理解し,特にその訓育法に精通し,教育的機智に秀れていること」が望まれる。

(7) リ−ダ−シップ

コミッショナ−は,成人たちの指導者である。「大人をいかに導くか」という能力が特に強く要請される。さらに,それは単なるリ−ダ−シップにとどまらず、いわゆるマ−ネ−ジメントの能力やカウンセラ−(相談指導の技術を持った人)としての資質も,あわせ持ったものでなければならない。しかし,全般的には協調性(共感性)といったものが求められることはいうまでもない。

3.コミッショナ−の心構え

(1) 自己評価

コミッショナ−の仕事は広範囲に及ぶため,どんなに注意してもまちがいが生じることがある。つねに初心にかえって,自分は一体何をすべきかを再確認して,自分のやってきたことを反省し,評価を行い,次の責務遂行の計画を立て直すようにしなければならない。

(2) 自己研鑽

図書の利用は自己研鑽に有効である。ボ−イスカウト関係書はもとより,広く青少年教育に関する図書から学び,専門的な知識・技能の向上に努めることが大切である。他方,各種の指導者訓練機関への参加はもとより,指導要員として奉仕することも自己研鑽に大いに役立つであろう。

(3) 成人たちの指導者として

コミッショナ−が接する相手は,ほとんどの場合,成人であり,しかもボランティアである。コミッショナ−が隊長たちに対して指導者という立場で接するとはいえ,それは少年を相手にする場合とは,全く違うことを心しなければならな い。

言葉づかいに限らず,その他の態度でも,十分注意したいものである。また,相手が多くの場合,ボランティアであることをつねに考えて,事に当たる必要がある。雇用者が部下に命ずるようなことは,いかなるときでも許されない。

コミッショナ−とは,組織上の役務であって上司でも命令者でもないことを忘れてはならない。 

(4) 一人で仕事をしない

コミッショナ−の責務を果たすということは,与えられている多くの仕事を一人ですることではない。むしろ,一人で果たせるものではないと考えるべきであろう。そのために,副コミッショナ−がいるのである。副コミッショナ−を選任し,あるいは他の協力者を得て,仕事を分担してもらうことこそ大切である。

もともと,スカウティングにおける大部分の活動は,チ−ムワ−クによるものであって,コミッショナ−の仕事も決してその例外ではない。

副コミッショナ−の役務と分担

・ 副コミッショナ−は,いずれもコミッショナ−と地区委員長の推薦により、県連盟理事会の議を経て委嘱されることになっている。即ちコミッショナ−か らの全面的な信頼と要請をうけて就任するものであるから,正副コミッショナ −は,相互に信頼し十分理解し合って,その任にあたらなければならない。

・ 副コミッショナ−は,コミッショナ−のより良きブレ−ンとしても活動し,常にコミッショナ−から指示された仕事だけを遂行するばかりでなく,地区の 発展問題については,特に相談をかけられなくても積極的にコミッショナ−へ 進言しなければならない。

・ 副コミッショナ−は地区コミッショナ−の代理または代行者ではなく,あくまでも協力者,補佐役である。副コミッショナ−は,役務の分担については,補佐,及び分掌などの意味を十分認識し,与えられた責任と役務の遂行に努力することが必要である。

(5) 組織を通じて

スカウト活動及びスカウト教育の特徴は,組織を通じて進めていくことが重要である。従って,コミッショナ−は,各役務の立場の人たちが連携意識をもって,楽しく活動してもらえる雰囲気やハ−モニ−をつくる指揮者とならなければならない。

(6) 後継者の育成

好むと好まざるとにかかわらず,やがてバトンタッチの時期がやつてくる。何も,コミツショナ−の仕事に限ったものではないが,潮時をみつけて後進に道を開くことは重要である。そのためには,日頃から後継者の育成を心がけておかなければならない。その意味からも,適宜,副コミッショナ−に仕事を分担してもらう必要があるわけである。



第2章 地区コミッショナ−の任務

1.地区内各コミツショナ−の任務

(1) 地区コミツショナ−

教育規定

規5−23 地区コミッショナ−の責務は,本連盟及び県連盟の方針と,その規約に従い、地区内のスカウト運動の基準を維持し,その純正な発展を図ることであり、特に次の任務を有する。 、

(1) 団の構成を助長し,その効果的活動を確実ならしめること

(2) 地区内のすべての指導者の調和的協働を図ること

(3) 地区内に指導者訓練を奨励し,すべてのスカウト訓練を見守ること

(4) 小地区コミッショナ−と協働して加盟団を訪問し,指導に関して助言すること

(5) 登録に関する団審査及び監査に協力すること

(6) 地区内の小地区コミッショナ−の調和的協働を保つこと

(7) 地区内の目的を同じくする他の団体と協力し,良き関係を維持すること

すべてのコミッショナ−がもつ共通の任務と責任は第1章に記した通りであるが, 地区コミッショナ−は,特に,地区内のスカウト運動における基準の維持と純正な発展に責任を持っている。教育規定の第323条に示された責務の (1)は,団組織の発展に協力することであり,団委員会の活動をうながし,団内の指導者養成や団会議のあり方に関して,間接的または直接的に指導をすすめると同時に,団の活動が基準を維持しているかについて見守ることも含んでいる

(2)は地区内各種指導者との,効果的なつながりをもつことによって可能となる。各団・隊の指導者との個人的な接触,各団・隊の報告・通知等の文章,ならびに各団・隊の訪問などの方法によって情報を集め,分析することによって,常に地区内各団・隊の実状を把握していなければならない。また地区役員の一員として地区委員会や地区協議会に出席し,団・隊の状況を報告し,各種委員会に対しては必要な助言をし,協力を求めることも大切である。

(3)は,地区コミッショナ−が地区内における教育・指導面の中心的指導者となることを意味している。指導者の資質向上を図るために,各団・隊の指導者に資料を提供したり,助言し,励ましたりして援助を与え,他団や隊の見学ができるようにあっせんの労をとる。また研修所・実修所,各種研修会等への参加も計画的に進めることが望ましい。プログラムの開発・実施についての援助としては,各団・隊のプログラム(予定と実績)を定期的に調べ,適切な助言をし,記録のつけ方等についても指導するとよい。

地区ラウンドテ−ブルは,地区コミッショナ−が主宰する。ラウンドテ−ブルでは各指導者がプログラムや経営の面から,それぞれの体験を話し合う機会を作り, 地区や県連盟のプログラム計画・活動を知らせ,その参加方法等について話し合う。指導者間の親睦を図り,意欲づけを行うと同時に,参考になるものを提供し,訓練するのがラウンドテ−ブルのねらいである。

その他,団・隊の訪問や審査,継続登録のための助言なども,地区コミッショナ−の任務であるが,これらの仕事は地区コミッショナ−一人でできるものでははない。そのために自分のスタッフである地区副コミッショナ−や小地区コミッショナ−を養成し,指導・訓練しておく必要がある。地区内でのコミッショナ−スタッフの会合を定期的に行い,地区内のスカウト運動が円滑にすすむよう調整すると同時に,自ら県連盟のコミッショナ−集会に出席して地区の状況を報告しなければならない。

スカウト運動の基準を維持し,純正な発展を図る上で,他の青少年団体,関係地域団体ならびに関係諸機関との協力や,良い関係づくりを維持することも重要である。地区コミッショナ−はスカウト組織の内部のみならず,外部との接点にも立って,そのパイプ役を果たすことが期待されている。

(2) 地区副コミッショナ−

教育規定

規5−24 地区副コミッショナ−は,必要に応じて,地区コミッショナ−と地区委員長の推薦により,県連盟理事会の議を経て,連盟長が委嘱する。

A 地区副コミッショナ−は,地区コミッショナ−の任務を全般的に補佐し,また特に与えられた任務を遂行する。

B 任期は,地区コミッショナ−に準ずる。

C 地区副コミッショナ−の資格は,次のことを考慮する。

(1) 青少年の訓育を託するに足る品性及び経歴

(2) スカウト運動の経験及び基準の理解

(3) 地区内の教育指導にたずさわる指導者を主導する能力

(4) ウッドバッジ実修所を修了した者,あるいは県連盟がこれと同等の資質と経験を有すると認めた者。

(5) 前号の県連盟が同等と認めた者は,就任後速やかにウッドバッジ実修所を修了することが望ましい。

地区副コミッショナ−委嘱の方法と順序は次の通りである。

@ 現スタッフの評価

地区内のすべてのコミッショナ−は任期が2年間で,6月30日に更新される。したがって,任期切れの前にその一人ひとりを評価しておいた方がよい。適任者は再任を妨げない。

A 委嘱人員の決定

委嘱人員は地区の構成,地区副コミッショナ−の任務分担の種類等によって異なるが,8〜4個団に1人の割合が適当であると思われる。再任者の数から,新たに補充すべき人数を内定する。

B 委嘱予定者のリスト作成

地区の人達の意見を聞き,適任者のリストを作る。できれば順位をつけておくとよい。

C 地区の推薦

予定者から地区副コミッショナ−就任者の内諾を得る。

(注) 以上@〜Cはすべて,地区コミッショナ−が地区委員長との合議によって行なう。

D 県連盟の承認と委嘱

地区は必要書類(予定者の推薦書・経歴書等)をそろえて県連盟事務局に提出し,県連盟理事会の議を経て,連盟長の委嘱を受ける。

E 任命式

委嘱された地区副コミッショナ−は,コミッショナ−集会等の席上で発表され任命される。

地区副コミッショナ−の任務は,地区コミッショナ−の全般的な補佐および特定任務の履行である。特定任務とは,たとえばプログラム部門別担当,各種委員会別担当などである。また,必要に応じて,地区コミッショナ−の任務のいずれかを分担することもある。地区や県連盟の実状によっては,小地区コミッショナ−の任務である地区内各団の担当を分担してもよい。

人員の関係で,ひとりの副コミッショナ−が数種の任務を兼ねれこともあるだろうが,いずれにしても,地区内のコミッショナ−スタッフの一員としての任務分担であり,全般的な協調体制を図るよう全員が心がけねば,地区の純正な発展は望めない。



(3) 小地区コミッショナ−

教育規定

規5−26 小地区コミッショナ−は,必要に応じて,地区副コミッショナ−と同様の手続きをもって委嘱する。

A 任期及びその資格については,地区副コミッショナ−に準ずる。

規5−27 小地区コミッショナ−は,地区コミッショナ−の指示を受けて,受持地域内の各隊が,連盟の方針及び規約に従い,常にスカウト教育の基準を維持し,効果的にプログラムが実施されるよう,団指導者に協力し,援助する任務を有する。

小地区コミッショナ−委嘱の方法と順序は,地区副コミッショナ−の項で記したものに準じる。

「小地区」という言葉は「小地区コミッショナ−」という地区役員にのみ用いられるものであり,小地区という組織が存在するものではない。教育規定には「県連盟は,地理的条件,加盟団の状況,運動の発展状況及び地域の実状を考慮して,県連盟理事会が定める地域ごとに地区を設ける。」(第5−1条)

「加盟登録の承認を受けた地区内の,すべての加盟団は,その地区の構成員である。」(第5−2条)とあり,地区には地区協議会,地区委員会および各種委員会などの組織が確立されている。しかし,小地区に関してはこのような組織を一切もたず,小地区コミッショナ−の任務分担上の便宜的な受持ち区分であることを認識して,その運用に誤りのないようにしなければならない。

小地区コミッショナ−は数個団の受持ち区域をもつことになる。その数は団内にある隊の数や,地理的条件によって異なるが,十分な援助活動を行うためには あまり多くない方がよい。ひとりが2〜4個団を担当するという方法が一般的であるが,地区の実状によっては,団毎に複数の小地区コミッショナ−が担当する(中の1人が主担当)という方法も考えられる。

小地区コミッショナ−は地区コミッショナ−の指示を受け,担当の団・隊に対する適切な協力と援助を行うが,隊長のみならず,団委員とも接触することが望ましい。隊運営の協力者であると同時に,団委員のよき相談相手であって,はじめて,小地区コミツショナ−の役割が生かされてくる。



2.団・隊への援助

(1) 団 訪 問

団(隊)の訪問は地区コミッショナ−の重要な任務である。教育規定第5−23条地区コミッショナ−の責務に「(1) 団の構成を助長し,その効果的活動を確実ならしめること。(4) 小地区コミッショナ−と協働して加盟団を訪問し,指導に関し助言すること。(5)登録に関する団審査及び監査に協力すること。」さらに,教育規定第5−27条小地区コミッショナ−の任務に「効果的にプログラムが実施されるよう,団指導者に協力し,援助する任務を有する。」とある。以上のことからも団訪問が必要である。

地区の各団を少なくとも年1回は訪問するようにしたい。そのためには,各団から行事・会合の予定表や案内状をもらうとよい。

地区内のコミッショナ−スタッフで分担を決め,年間計画を立てておくことも大切である。歴史の新しい不慣れな団のためには,この回数を増やして十分な援助ができるよう配慮する。古いベテランの団には協力を依頼し,地区内他団・隊の指導者が見学できるよう,取りはからうことも援助の手段である。  



  訪問する立場は

@ 団の発展向上のための支援者として

A スカウティングの知恵袋として

B 隊−団−地区組織間のパイプ役として

C 団の主治医として

・組織,機能等の栄養バランスを診断する

・適正な活動に忠告と処方を与える

・行きづまりの治療と予防を行う



訪問の手順としては

@ 訪問予定の2〜3週前までに,その団委員長と次の点について打ち合わせておく。

(ア) 日・時,当日のプログラム

(イ) 要望事項,当日までに,準備しておいてほしい物等

(ウ) 行事・会合の内容によっては,スカウト・指導者・団委員の他,保護
     者等できるだけ多くの人達が参加してもらえるよう手配する

A 訪問の前日,もう一度電話で訪問時刻を告げ,準備を確認する。

B 行事・会合の終わったあと,多くの指導者,団委員と話し合う。

C 後日,団委員長と団訪問の感想を話す。

団訪問をした際には,せつかくの機会であるから,何かその団にとってみやげとなるようなものを与えるようにしたい。たとえば,スカウトには夜話形式の話しをしたり,保護者や育成会員には,スカウト運動の目的と基本方針を判り易く解説して話すのが,地区コミッショナ−のつとめであろう。しかし,団委員長や隊長のなすべきことまで立ち入ってはならない。

次の点に留意する。

(ア) 行事・会合の邪魔にならないよう,横から見せてもらう。

(イ) ゆっくりと時間をとっておく。

(ウ) 監査を行うような態度はとらない。特にスカウトの前で指導者の評価
     等は絶対にしないこと。 (エ) 良いところをほめ,悪い点については具体的な改善案を提示する。

(オ) 悩み事,問題点を引き出すようにしむける(不都合なことはえてして
     隠したがる)。

(カ) 主な欠席者については,欠席の理由をたずねる(日常の活動状況が判
     断できる)。

相談を受けた事柄に関しては,相手が十分納得できるような,具体的な回答を出さねばならない。自分ひとりで解決できないような問題や即答ができないような問題については,後日回答することを約束し,他のコミッショナ−等と相談して返事するように心がけたい。時には,訪問というかたちをとらず,団委員長や隊長と個人的に話し合うのもよいし,電話で時々様子を聞くという方法もある。しかし,くれぐれも,団・隊の指導者やスカウト達から敬遠されないよう慎み,どこまでも親しまれるコミッショナ−であってほしい。

 ※ 団訪問の着眼点

  @ 団と育成団体との関係は,密接で円滑で申し分ないか。       

  A 団委員は,適正に選出されているか。

B 団委員は,スカウティングをいかに理解しているか。 特に,目的と原理をいかに理解しているか。

  C 団を永続させる手だてはよいか。

ア. 団の資金源は,安定性があるか。

イ. 隊指導者の確保はいかに考えているか。

D 団および隊の記録簿関係は整備されているか。

E 団内の連絡網は具体的であるか。

   さらに団訪問を円滑にし,実状を把握するために次の点に留意する

@ 指導者の数は適当か。

A 指導者および準指導者の配分配置は適当か。

B 新設すべき隊はないか。

C 隊の構成においてアンバランスが生じていないか。

D 団委員会は,指導者の環境整備に十分な援助をしているか。

E 団会議は「ビ−バ−からロ−バ−までの訓育」を忘れずに,団および隊
    の訓育計画を推進するのに役立っているか。

F 団および隊の財産管理,金銭管理運用は適正か。

G 隊指導者は任務を分掌し,その責務を果たしているか。

H 正確な記録を持ち,それが活用されているか。

I 団の通信連絡先は適正か,団内の各部門相互の連絡網は適正か。



 (2) 隊 訪 問

団訪問と同様に,隊訪問も計画的に実施することが望ましい。地区の年間計画として隊に予告済みの訪問と,任意の訪問するかたち(地区コミッショナ−自身の計画による),そして隊からの要請のあった時の訪問,この三者をうまく使い分ける。担当の地区コミッショナ−当該プログラム部門担当の副コミッショナ−が,一緒に訪問するのも効果的である。

隊長の欲しているコミッショナ−とは次のようなものである。

@ 隊の発展のために,よき相談相手になってもらえる人。

A 自分の考えがもし間違っていたら,それを訂正してくれる人。

B 自分の指導技術に対し,援助してくれる人。 したがって,地区内のコミッショナ−は常に,次のような点について勉強を心   がけてほしい。

C 日本連盟の教育規定全般を正しく理解しておく。

D スカウティングに関する書籍には,常に目を通しておく。

E コミッショナ−集会に出席して,県コミッショナ−や他の地区コミッショナ−の意見を聞き,指導を受ける。

F 講習会,研修所,実修所および各種研究会には努めて奉仕し,指導技術を身   につける。



※ 隊訪問の留意点

@ 観 察

まず隊の動きを見たり聞いたり,またプログラムが正しく組まれスム−スに運ばれているかを観察し,正しい判断を下す。そして隊の集会後,隊指導者と話し合う。隊集会のとき隊長をさしおいて指導したり注意したりしてはいけない。またスカウトの前で指導者に注意を与えたりすることも絶対に避けねばならない。

A 協力援助

隊集会以外の時でも,隊指導者との話し合いの機会を作ることが望ましい。この会合では各隊指導者の教育運営について相談にのる。そして地区コミッショナ−として,どんな援助が必要か,隊指導者の希望を聞いてみる。また成功した話,失敗した話を聞いてやり,成功した話に対しては賞賛を与え,失敗した話については励ましてやる。

B 隊集会の邪魔にならないようにする

地区コミッショナ−が,隊集会に顔を出したために,スカウト達が堅くなってしまったり,隊指導者がやりにくくなったりしたのでは,失敗である。どこまでも自然な雰囲気でスカウト達がのびのびと訓練に励むことができるよう邪魔しないことある。くれぐれも注意しなければならないことは,コミッショナ−に見せるためのプログラムを組まないようにすることである。

 ※ 隊訪問の着眼点

@ 各隊共通

(ア) 指導者は(構成,人員,研修歴,スカウティングに対する熱意,品性,子供にすかれているか,等)

(イ) 出席状況は(隊員数,班(組)数,出席率,スカウトは喜んで参加しているか,等)

(ウ) プログラムは(計画的か,一時的か,プログラムの立案においてスカウトのニ−ズを取り入れているか,進歩に役だっているか,等)

(エ) 指導性は(指導者間の分担・連携プレ−が生かされているか,隊長のワンマンになっていないか,等)

(オ) スカウトの態度は(愉快に参加しているか,班(組)制度が生かされているか,各指導者を尊敬しているか,班長やデンコ−チの指導性は,スカウトの服従性は,等)

A ビ−バ−スカウト隊

(ア) 隊指導者,補助者の組織が整い,協力しているか。

(イ) 保護者の参加と協力があるか。

(ウ) 進歩課目の履修は進んでいるか。

(エ) ビ−バ−スカウトのやくそくとビ−バ−隊のきまりが理解され,実践されているか。



B カブスカウト隊
   (ア) テンリ−ダ−,デンコ−チの組織が整い,協力しているか。
(イ) 保護者の参加と協力があるか。
(ウ) カブブックの履修は進んでいるか。
(エ) やくそくとカブ隊のさだめが理解され,実践されているか。
   (オ) プログラムに進歩課目や野外活動が組み入れられているか。



C ボ−イスカウト隊 

(ア) 野外活動が中心にすすめられているか。

(イ) 班制度が十分に活用されているか。

(ウ) スカウト達は進歩しているか。

(エ) ちかいとおきてが理解され,実践されているか。



D ベンチャースカウト隊

(ア) 高度の野外活動が含まれているか。

(イ) プロジェクトや活動チームがうまく機能しているか。

(ウ) 進歩課目,及び技能章への挑戦がなされているか。

(エ) ちかいとおきての実践と奉仕活動があるか。

E ロ−バ−スカウト隊

(ア) プログラムには実技的なものと教養的なものが含まれているか。

(イ) スカウトはそれぞれ個人プロジェクトをもっているか。

(ウ) 他隊の訓練指導を含む奉仕活動を行っているか。

(エ) ちかい・おきての実践と,各自が信仰を求めるための営みがあるか。



(3) 団委員会への援助

団委員会は毎月1回,定例的に開かれるのが望ましい。地区コミッショナ−は団委員会が団のスカウト運動全般の進歩向上に関する諸問題を解決するために,また各隊の進展に対する援助・協力を行うために機能しているかを観察し,援助しなければならない。大人の集まりである団委員会は,人間関係も非常に重要である。議題の少ない月は談笑だけで過ごしたり,時には団委員同志の親睦を図るための行事ももつように勧める。団委員長を中心に,団委員,育成会員,保護者たちの和が保たれておれば,困難な問題もその大部分は解決されたようなものである。

団委員会の構成は団の性格によって異なる。一般的には,育成団体を代表する立場の方と,各隊スカウトの保護者の中から選ばれるのが普通であるが,団出身者,地域の有力な協力者,医師などが団委員に選任されていることもある。いずれの場合も,全員が十分な活動をしているかどうかが問題である。団委員として何をしたらよいのか判らなくて機能していない場合や,ケ−スバイケ−スで地区コミッショナ−の助言は異なってくる。

 団委員会の仕事はその団の運営管理面の業務を担当し,隊指導者が教育面に専念出きることである。

団委員会の役目については教育規定6−7に示されているが,これを野営行事,組織・拡張,指導者養成,健康・安全,進歩,財政の6部門に分けて担当してもらうのである。

団委員会によつては,この6部門をその都度全員で,検討して行く仕方と,団委員が各部門につき責任を分担し他の団委員がこれに協力する仕方とがある。

この6部門は,地区の同じ部門の運営委員会とそれぞれ関連性を持っている。

地区コミッショナ−は団委員会の運営には,直接関係は持っていないが,この委員会の活発不活発は直接隊の進歩発展に大きな影響を及ぼすだけに,もし団委員会が不活発な場合は,地区コミッショナ−として助言しなければならない。

 団委員会がうまく機能していない時は,とにかく月に1回集まることを勧めてみる。最初のうちは話題がなくても,やがては自然に,多くの話題が山積みされるようになる。役務を分担しなければ問題の解決ができないことも判ってくる。経験者の少ない,新しい団に対しては,団委員研究会や団運営研修所への参加も奨励したい。地区コミッショナ−の団委員会に対する援助は,あせらず気長にやらねばならない。話題に困っている団があれば,参考となる話題を提供してもよい。

 団委員会での議題としては次のようなものが考えられる。

@ 活動報告と予告(各隊の計画・団行事・地区や県連盟の行事とそれらに対する団委員としての協力のあり方)

A 団の資産の管理(備品の購入,台帳の整備,倉庫の確保)

B 団の財政(財政確立の方法,育成会費,特別行事の参加費,隊費,会計帳簿の整備,予算,決算)

C 集会場,キャンプ場,カブのキャンプ場(集会所の確保,キャンプ地の選定と使用許可,運搬輸送の便,安全対策,傷害保険)

D 隊指導者の選任(後継者の養成,新人の発掘,団内の指導者研修,講習会・研修所・実修所・その他各種研究会への参加奨励)

E 加盟登録(新入隊員の募集,脱落スカウトの防止,団委員の役務分担,地区や県連盟への奉仕分担)

F 団の広報活動(活動状況資料の作成,育成会・保護者への連絡や協力,地域内の他の青少年団体との交流,地域社会への奉仕活動)

G 新しい隊の発足(同じ種類の隊の分封,分団)

H 進歩の促進と基準維持(面接会の構成と実施,進歩状況の確認,進歩記章の授与,進歩の報告,入隊・上進・進級の各式典,技能章考査についての援助)

I 団委員の研修(団委員研修会,団運営研修所)

J 記録の整備と保管

K スカウトの健康と安全に関する留意(健康診断,安全対策,傷害保険)



  (4) 団会議への援助

団会議の構成は団委員長(または指導者経験をもった副団委員長)が議長となり,各隊の隊長・副長がそのメンバ−となる。団会議の機能は「団の運営と団委員会」(P47〜50)に示された通りであるが,円滑にプログラムを実施していくための話し合い,各隊間のアンバランスを防ぐための調整,さらには各指導者の相互理解を深める場として,団会議を活用するよう助言・指導することである。

隊と隊にわたる問題,たとえばデンコ−チ派遣の要請など,カブ隊長がデンコ−チの有効性,役割りなどを説明してボ−イ隊長の理解を深め,依頼を容易にすることができるだろうし,デンコ−チの活動の様子をボ−イ隊長に報告して,ボ−イスカウトとしての彼らの指導について話し合うことができる。その他,上進章等が隊と隊にわたる問題として存在する。

訓練用具を融通しあったり,備品の購入を相談しあったりすれば,無駄を少なくすることができるだろう。ある隊長のかかえている悩みは,同じ団に所属する仲間の悩みとして相談にのることも可能である。

ビ−バ−スカウト隊やカブスカウト隊の発展は,それぞれカブスカウト隊やボ−イスカウト隊の発展につながり,それはさらにシニア−スカウト隊からロ−バ−スカウト隊の発展へとつながるものである。

地区コミッショナ−として留意すべき点は,団会議で話合われる議題の多くは,団委員会の役目(教育規定第6−7条)にも含まれていることである。 通常,団会議ののち,同じ問題が団委員会で審議されるが,時には団会議と団委員会とが対立してしまう可能性もある。団会議と団委員会の接点に立ってその両者の調和的協働を保つのが団委員長の任務であるが,地区コミッショナ−はこのような時に援助を惜しんではならない。

団はひとつの家族であって,団委員会と団会議とは車の両輪にもたとえられる関係にあることを強調し,その団家族全体の発展という立場で,公正な協議と話し合いが行われるよう指導すべきである。

団会議への助言としては,次のようなものが考えられる。

@ 団内各隊プログラムの重複を避けるための調整

A 集会場所・備品使用の調整

B 団内各隊の基準維持

C 団内合同行事,式典等のプログラム

D 各隊の予算の調整

E 各隊長の悩みごと,問題点

F 安全対策

参考:「団会議での協議事項」(「団の運営と団委員会」(P47〜50))



3.指導者研修の促進

(1) 地区ラウンドテ−ブルの開催

ラウンドテ−ブルは,各隊の隊長や副長が隊の運営,技能の研修やプログラムの研究などについて,自分の能力を向上させるために,自己研修をする場である。地区コミッショナ−は,豊富で新しい資料を準備し実際指導に役立つ魅力あるラウンドテ−ブルを企画し,推進することである。

開催するにあたっては,次のことを考える。

@ 運営責任者は直接には,地区コミッショナ−が責任を持ち,最終的には県コミッショナ−が責任をもつ。

A 年間計画にしたがって,地区や県連盟の現状にあわせて定例的に開催すべきである。

B 隊長や副長は参加を義務づける。各隊の隊長や副長(副長補)などは,出席することを義務づけるべきで,テ−マによっては,デンリ−ダ−などの参加を勧誘することも考えられる。

C 早めに研究テ−マを提示する。研究テ−マは,少なくとも1か月前に示しておき,事前研究の上に積み重ねることが効果的である。なお1回の研究時間は,約2時間程度がよい。

D BVS,CS,BS,SS,RSの各隊指導者がそれぞれの分野に分れて開催する。時にはこれらの指導者が一同に会して,共通な点について研究討議することもよい。

E 討論会でも苦情の処理会でもない。隊指導者に有意義であり,自隊の運営やプログラムにプラスになるものでありたい。この会が,ただ単なる行事の打合せや,事務の伝達のみの会合であると出席者が順次少なくなってしまう。

F テ−マを決める場合参加者の意見を聞き取り入れる。参加者の意見を聞き,時期やテ−マとしてふさわしい内容のあるものをテ−マとして選ぶことは,もちろんだが,スカウト運動の基準を維持していくのに障害と問題点をテ−マとして優先的に取り上げていく姿勢が必要である。

G その他運営上の注意点
・あまり理論的な取り上げ方をしない。
・テ−マによっては、消化不良を起こさないようにするため数回に分ける。
・前年度やったテ−マは,次の年には取り上げないという姿勢を採らない。指導者の中には新しい人も出てくるはずである。テ−マの観点を変えれば新鮮に感じるものである。
・出席者が少なくとも決して中止したりしないこと。
・担当者だけの話しに終わることなく,参加者の発表の場とする。
・開会・閉会のセレモニ−を行うとともに,歌・ゲ−ム等を間に入れる。
・テ−マにあった講話,展示,映画などを考慮する。
・適切な資料を準備し配布する。

  H 集会の例

0:00 開会行事
0:05 来訪者,新入者などの紹介
0:10 歌の練習
0:25 ゲ−ムの紹介
0:35 技能訓練(できるだけ実際に近い状況でおこなう)
1:15 話し合い(参加者が話せるような場面を設定)
1:45 打ち合せ(参加者への奨励や翌月の説明)
1:55 閉会行事
2:00 散  会

(2) 地区指導者訓練要員チ−ムへの協力

指導者養成のためには,定型的なコ−スのほかに,ラウンドテ−ブル,研修会,各種研究会など,非常に大切なものがある。絶え間のない研修,これこそ,定型的なコ−スでの研修に肉を付け,果実をみのらすものとなろう。指導者養成の目的は,スカウト運動の発展にあり,スカウト運動の発展は団,隊の充実と組識の拡大の2面にある。 従って,指導者訓練を円滑に実施するために地区に指導者訓練要員チ−ムを編成することが望ましい。そして地区コミッショナ−は訓練要員と協力して,各種の研修の場を設定する必要がある。

(3) 定型外の研修活動

役務の同じ他の指導者との話し合いや経験の交流を行う機会が指導者の養成に大いに価値のあることは長い間認められてきた。共に問題の解決に当たり,自分の責務をより深く理解し,新しい見方を学び,互いに指導助言しあうことができる。定型外訓練は,自然発生的に成立するものであるが,はっきりした目標を定め,十分な企画をしなければ,成果はあがらないものである。地区で行う各種の研修会,技能訓練などが定型外訓練として重要であり,地区コミッショナ−は,特に定型外訓練の開催を推進し参加を奨励することが期待される。開催にあたっては,県連盟で行う各種定型外訓練を参考にし,地区の実状に応じ実施されたい。

4.地区内外との調和的協働

(1) 地区協議会

教育規定

地 区 協 議 会

規5−4 地区は,地区協議会を開催する。
規5−5 地区協議会は,地区協議会長の招集により必要に応じ随時開催し,協議会長が議長となり地区委員長,地区コミッショナ−,各委員長からの報告,伝達及び協議等を行う。

規5−6 地区協議会の構成は,次の通りである。

(1) 地区協議会長 同副会長
(2) 地区委員長(県連盟の地区代表理事) 同副委員長
(3) 地区コミッショナ− 同副コミッショナ−
(4) 小地区コミッショナ−
(5) 各種運営委員会及び特別委員会の委員長
(6) 会計係
(7) 事務長
(8) 各団委員長
(9) 各隊長
(10) 学識経験者会員(必要に応じて,(8)(9)の団指導者と同数を越えない限度において,地区委員会が学識経験者として推薦した者)

 県連盟が地域ごとに地区を設けるのは,その地域内の各団・隊に対して,県連盟に代ってきめの細かいサ−ビスができるよう配慮されたものである。したがってこのような地区としての機能が十分に生かされる状態でなければならない。そのために協議会には団から,団委員長と各隊長が,必ず構成員として参画することになっている。この精神は,新しい者に対する研修の場を提供し,又経験の深い者に対して,奉仕活動の場を提供しているものである。



 地区協議会の目的と責務


 @ ボ−イスカウト運動を保護し,発展させる

 スカウト活動の中には,それほど深く経験していなくともできることもあれば,全くわからない事柄もある。しかしこの運動に,一生懸命になればなるほど理論的にも,実際の活動の面でも,広く奥深いことがわかって来る。これらの事柄を自己流に解釈して行うことは危険であり,将来をになう青少年に対しての指導のためには,いくら研究しても研究しつくせないものがある。また、正しく指導することが大切である。

 スカウト運動は,理論的に頭の中で理解しただけでは不十分で,体で実際面と理論を結び付けて実行するところにその価値がある。その意味で地区協議会は,地区内の団・隊の様々な要求に応じられるような,研修と指導態勢を整える必要がある。

 A 関係組織と調和的協働を保つ

 各種研究会,技能章に関する講習会等単位団だけでは無理なことや,又同じ問題で悩んでいる事柄についての解決のし方などを地区協議会で話し合う。 ガ−ルスカウト,海洋少年団,子供会,スポ−ツ少年団,野球クラブ,サッカ−クラブなど地域青少年団体を地区ラリ−やB−P祭などに招待し理解を深めあう。

 B 県連盟の方針やプログラムの効果的実施と,地区の意向の伝達反映

  県連盟総会,理事会及び各種委員会は,団,地区等の要望を取り入れて,諸行事,諸指導者研修会を計画するような組織になっており,それぞれの団活動または地区の活動に役立つように考慮されている。したがって県連盟のプログラムは十分に活用した方がよい。また,地区の状況及び希望を県連盟に伝達反映する。

 しかしこれらのプログラムは,あくまで自由参加を原則とするものであり,隊の訓練プログラムを拘束するものではない。県連盟の発展は地区・団の協力によって成り立つものであるから,それぞれの経験と技能の分野に応じて奉仕する義務のあることも,忘れてはならない。



(2) 地区委員会

教育規定

規5−9 地区に地区委員会を設ける。

A 地区委員会は,地区総会の承認を得た計画に従い,運営する。

規5−10 地区委員会は,地区役員をもって構成する。

規5−11 地区委員会は,地区委員長が招集し,開催する。

規5−12 地区委員会の定足数は,過半数(委任状を含む)とし,議決は出席者の多数決による。可否同数のときは,議長がこれを決する。

規5−13 地区委員会は,その下部機構として各種の運営委員会及び特別委員会を設けることができる。

規5−16 地区役員は,次の通りである。

(1) 地区協議会長 同副会長

(2) 地区委員長 同副委員長

(3) 地区コミッショナ− 同副コミッショナ−

(4) 小地区コミッショナ−

(5) 各委員会委員長(運営委員会の設置されていない場合は,県連盟運営委員会に対する地区代表委員)

(6) 会計係

(7) 事務長

 地区協議会は,その目的達成のために,審議執行機関として地区委員会を設けている。

 地区委員会は具体的に団・隊に対するサ−ビスを行う機関でありその責任者が地区委員長である。地区委員長は地区総会および地区委員会において,決定された事項を忠実に実行する。

 地区委員会活動のうち,主として,教育指導面を担当するのが地区コミッショナ−であり,地区コミッショナ−は,地区内の団・隊の実状を的確にとらえ,これに対して地区の指導方針等を決定していく。

 全ての行事は最終的にはスカウトの訓練との関連において行われる。

 地区コミッショナ−は,地区委員長と協力し,地区内スカウト活動の発展のために努力しなければならない。



(3) 地区内各種運営委員会

教育規定

規5−14 運営委員会は,地区委員会より委任された任務を,下記の区分に従い分担する。

(1) 組織及び拡張に関する事項

(2) 指導者養成に関する事項

(3) 進歩に関する事項

(4) 野営及びその他の行事に関する事項

(5) 健康及び安全に関する事項

(6) 財政に関する事項



  各種運営委員会は,地区コミッショナ−の指導方針と地区委員会の運営方針にもとづき,それぞれの分担にしたがって,活動に協力する。

 そのためにも地区委員長,地区コミッショナ−,各運営委員長は,地区運営,団・隊の指導について,全く同じ理解と考え方をもつことが,必要であり,叉,相互に信頼されてはじめて,その目的が達成される。注意すべき事として,コミッショナ−は運営委員会の仕事を助けこそすれ,その仕事を横取りする様な態度に出るべきでない。



(4) 各団・隊への適正指導と助言

地区コミッショナ−は指導者への適正な指導ができるような態勢を作るために地区副コミッショナ−の任務分担を決めて担当することがよい。任務分担を決めるには,それぞれの部門の特色,及び各地域の特性を理解した上で適任者を選ぶことが望ましい。



「「留 意 点「「

@ 地区コミッショナ−は,団訪問,地区協議会・ラウンドテ−ブル,各指導者に対する個別指導等によって,各隊の現状,問題点などの現況を的確に把握することが必要である。

A 各部門や団・隊への助言に当たっては,第三者としての単なる批判は避け,あくまで指導者の立場に立った暖かい励ましと臨床的な問題分析が出発点となる。

  B 助言の着眼点として次の諸点をあげることができよう。

(ア) 班制度が正しく運用されているかどうか。
(イ) プログラムの企画は適正なル−ルによっているか。
(ウ) 進歩と,野外活動とのバランスは正常に保たれているか。
(エ) 各部門への上進率は。
(オ) 指導者の構成と調和は。

C 団・隊への助言はあくまでもアドバイスである。各隊の具体的な方針や改善施策の決定は夫々の団にまかせるべきであり,限度をこえて各団・隊の運営に立ち入らないよう留意したい。

(5) 県連盟コミッショナ−集会への出席

地区コミッショナ−は,県連盟コミッショナ−集会に出席し,地区コミッショナ−としての指導技術の向上をはかるとともに,叉地区内指導者の意志を県連盟の方針,諸計画に反映するように心がけるべきである。

(6) 地区におけるコミッショナ−集会の開催

地区コミッショナ−は,毎月1回,定例的に,地区の正・副コミッショナ−の集会を開き,各種報告,アイディアの交換,教育プログラムの検討等を協議すると共に,相互の意志の疎通をはかり,協議体制をうちたて,指導技術の向上をはかるように心がけるべきである。

コミッショナ−集会のヒント

1. コミッショナ−集会の目的は,地区内各隊の意志の疎通をはかり,協力体制をうち立て,明朗な地区を作っていくことにある。

2. コミッショナ−集会では,次の内容のものを満たす。

(1) 県連盟の方針や諸計画を伝える。

(2) 地区の意見を求めたり,まとめたりする。

(3) 地区内の問題を解決する。

(4) 苦情を処理する。

(5) 指導の場とする。

(6) 親睦をはかる。

3. コミッショナ−集会の運営は楽しみのある,しかも気持ちよく参加できるようにする。

4. 次のような場合は積極的に利用する。

(1) 研修会,その他の研究会などと一緒に。

(2) 各人に影響する事項や,実施の際の意向を打診する。

(3) 不平不満を察知して求めているものの洞察。

(4) 地区の問題の自主的解決。

(5) 方針,企画の変更に伴う反応の調査。

 (6) 協力をとくに求めなければならない仕事。

(7) 地区名誉会議の開催

地区の表彰,感謝のこと等をつかさどるとともに,地区コミッショナ−の行う,ボ−イスカウト運動の純正で健全な発展に関する用務を補佐するために,地区名誉会議を設けるのが望ましい。地区名誉会議は,地区コミツショナ−が主宰し,地区が行う地区表彰とともに,県連盟が行う表彰に対して,推薦の業務を行う。

(8) 県外旅行

県外旅行も県内旅行も,その計画・準備・実施・後始末・反省などを含め,諸手続きなど基本的には何ら変わるところはない。ただ自地区・県内と違って,県外なら道筋なり野営地などの地誌なり状況・環境などの情報が充分把握しにくいところがある。したがって,指導者として事前の調査・情報収集には,より以上の慎重さと努力が要求される。

地区コミッショナ−は,各団が「旅行計画書」を提出した場合,それが県外における旅行である場合,その行先県連盟にその写しを送付し,その県内で,どこの県連盟(団・隊)が,何処で,どのような規模で,何を行うかを知らせておくことが大切である。

それは,万一何かあった場合,その県連盟の協力をお願いしなければならないこともあろうし,また,その土地(野営地・ハイキングコ−ス等)について,特別留意事項などの連絡・指導をうけることもできるであろう。

   県外旅行は,子供にも探検する喜びを与え,見聞をひろめ,自信を高め,観察力が養われるなど,得るものは大きいはずであるが,それには,それなりのル−ルなりエチケットがある。事前の指導に十分な配慮をすべきである。

地区コミツショナ−は,自地区内の各団(隊)に対し,平素より団(隊)の野営・ハイキングなどの行事を計画する場合,事前に「野営・旅行計画書」を必ず提出するよう指導すべきであるし,県外旅行を計画するに当たって,行先県連盟(団・隊)にいろいろ要請したり,行事・活動に支障をもたらせるようなことのないよう指導しておく必要がある。



5.加盟登録

 (1) 新設団への援助と加盟登録の審査

教育規定

規2−11 団を新たに結成しようとするものは,その旨を県連盟に通報し,結成についての指導を受け,次の条件が備わったとき審査を要請する。

(1) 団を維持できる育成団体が結成されていること

(2) 団委員会が組織できること

(3) 必要な指導者が任命できること

(4) 当該年齢の青少年で,2個以上の組または班が組織できること

(5) 訓練に必要な集会場所及び設備が得られ,野外活動特にカブ隊以外 は夏季野営を実施できる見込みがあること

規2−12 県連盟は,教育本部に代わって,県内の団の新規加盟または,継続加盟登録申請に対し,その団の審査を行い,加盟登録に適すると認めたときは,それを証明し登録料を添え教育本部に提出する。これらの審査は,地区の組織・拡張委員会及び地区コミツショナ−に委任し,またはそれらの協力を得て実施する。

新規,継続を問わず,団審査は厳正に行われなければならない。団審査を行わなかったり,ル−ズにすることは,その団の恒久的な維持運営や訓練に支障を及ぼすような欠陥があっても,これを未然に発見することができないため,その団の健全な経営のための適切な指導,助言を与える機会を失してしまうことになる。

ただし団審査は,隊員個々の技能や知識の再審査ではない。団登録に際しての審査は団の経営能力、必要な組織,各種指導者,訓練の態勢に重点をおくものである。

審査の方法については,各県連盟の事情により多少の差異はあると思うが,普通考えられる方法としては、あらかじめ各団と審査の日と時間,場所を打ち合わせ,団は次の書類を用意して当日持参する。

・ 新年度行事,訓練計画及び予算
・ 育成会員及び団委員会名簿
・ 隊指導者名簿及びその研修記録簿
・ 隊員名簿

この審査には,団委員長叉は副団委員長,各隊長または副長は必ず出席して,審査の質問にこたえられるようにしなければならない。
以上の審査は,県連盟が教育本部に代わって行うもので,方法としては,地区委員会の協力を得て県連盟が自ら行うか又地区の組織・拡張委員会と地区コミッショナ−に委託して行うものである。いづれにせよ審査の性質上,組織・拡張委員会とコミッショナ−とが協働関与することが大切である。
県連盟は,この審査により,団が加盟登録に適すると認めたときはそれを証明し,登録申請書に登録料を添えて教育本部に提出する。
以上の手続きと教育本部の承認を経て団は加盟団となり,スカウトと指導者は,正式に加盟員となるのである。
以下審査の重点4項目について述べてみよう。
    @ 団の経営能力
(ア) 団を維持できる育成団体が組織されている。
(イ) 育成団体の代表者が参加した団委員会が組織でき,その団委員長はスカウト運動を充分に理解し,(あるいは充分理解するよう努力するか)団委員も名前だけでなく,実際に活動できる人たちである。
    A 指導者の確保
各指導者が,教育規定の関係条文中に示されている資格を有し,その人数も適正である。
B 加盟登録に必要な組織構成である。
先述の育成会組織,団委員会組織はもちろんのことであるが,隊組織として当該年齢の青少年で2個以上の組または班が組織できる。
C 訓練態勢
訓練に必要な集会場所および設備が得られ,野外活動,特に夏期の長期キャンプなどが実施できる見込みがある。
要するに団審査は,団の恒久的な維持運営のための指導と助言を与え,スカウティングの基準の維持と浸透に効果的な役割を果たすものである。

(2) 継続登録

教育規定

規2−13 団の加盟登録に際し行われる審査は,団の経営能力,必要な組織,各種指導者,訓練実施の体制に重点をおき,隊員個々の技能や知識の再考査は行わない。

規2−14 審査に当たっては,団指導者が,次の条件を充分に具備しているかどうかに留意しなければならない。

(1) 青少年を託するに足る品性と経歴を有していること

(2) 団指導者としてのスカウティングの知識及び技能を有すること,即ち,少なくとも県連盟で開催する指導者講習会の課程の修了者もしくは,県連盟において指導者として適した資質及び経歴があると認められた者であること

(3) 各種指導者が,それぞれの関係条文中に,特記されている資格を有すること。特に,青少年への影響と,両親に対する責任と鑑み指導者としてふさわしくない者を,この教育運動に入れないよう,充分に注意しなければならない

(4) 指導者の研修のために開設される訓練機関に対して,積極的に参加する熱意を有すること

 継続登録にあたっても登録のための審査は,単に関係書類の整備のみに終えるのではなく,大切なことは少年のためのプログラムを展開するに必要な要件を充足しているかを知ることである。たとえ欠陥をみつけても,状況をよくみきわめて,直ちに改善を指摘するか,または徐々に改善にもっていくか適切な判断と援助体制のもとに行われることが期待される。

 審査の要点をあげると

 @ 団と育成団体との関係は,円滑であるか。
 A 団委員会はスカウティングの目的や原理について理解しているか。
 B 団委員は適正に選出されているか。
 C 団委員会は指導訓練の環境整備に十分な援助をしているか。
 D 団を永続させる手だてはよいか。
 (ア) 団の資金源は安定性があるか。
 (イ) 隊指導者の確保をいかに考えているか。
 (ウ) 団および隊の財産管理,金銭管理運用は適正か。
 E 各種の記録簿関係は整備されているか。
 F 指導者の数や配分配置は適当か。

 このほか,前回の団審査において指摘した問題点がどのように改善されているか改善されていない場合は,その理由をしらべ,打開策について助言し,ともに研究する。そのためまた,団においても,問題点があれば整理しておいて指導を求め易いように資料を準備する必要がある。
望ましいことは,各団は団審査を受ける前に,まず自己診断(審査)を行って,自己の団の水準を確認することである。


(3) 登録の促進

教育規定

規2−15 加盟登録の年度は,4月1日から翌年3月31日までとする。

A 継続加盟登録は引き続き4月1日から発効する。

規2−16 新規加盟登録,追加加盟登録及び除籍の申請は,その都度行い,継続加盟登録の申請は毎年1月1日から3月31日までの間に行う。ただし,2か月間の猶予期間を認めることができる。

継続登録する団において,団内の各種記録が常に整備されていると,継続登録申請書の提出はそう困難な作業ではない。したがって,これらの団の登録申請の作業は短期間に終える。すべての団が,このようであれば,「登録の促進」を特に考える必要はない。しかし実際には上記第67条の規定が守られず,期限後に提出される継続登録の申請がみられる。期限の尊守について地区コミッショナ−として十分な指導をしていただきたい。

継続登録申請書の記載事項は,各隊のスカウトの活動の記録に基づくもので,これらの記録は常に隊指導者が指導方針をたて,活動計画を練るうえに必要である。したがって,地区コミッショナ−は,平素から団指導者に記録の活用法を指導すべきである。

また,登録の期日が近づいた時期に地区の組織・拡張委員会で担当者を定めて,密接な連絡をとり,登録が速やかに行われるようにするなど配慮が必要である。

(4) 登録手続きと登録料の減免

教育規定

規2−17 登録料は当該年度ごとに登録申請時に年額を納入する。ただし,新規登録に限り,9月1日以降3月31日までに申請する者については,その半額とする。

A 登録料の金額は,全国会議および評議員会の議を経て理事会が決定する。

B 既納の登録料は,これを返還しない。

団訪問を終わって,登録申請書が整ったならば,審査責任者及び地区コミッショナ−は速やかに署名等の処置を済ませて,地区事務長の手元に書類を送り,県連盟事務局への提出の手続きを進める。

登録料は,わが国のスカウト運動,世界の国々の仲間と共にスカウト運動を展開するための窓口である日本連盟,および国際的調整を計る世界事務局の維持運営費の貴重な一部であって,加盟員全員が負担するものである。

しかしながら,団が経済的な理由から登録料の減免を希望する場合は,日本連盟中央審議会の決定に基づき,下記の通り取扱っている。また,年度の途中(9月以降)に新たに加盟申請する場合は,登録を促進するために,加盟員登録料が半額扱いとなっています。

登録料の減免措置

@ 対象となる隊
(ア) 養護施設の隊 (イ) 障害児を対象とした隊
(ウ) その他上記に準ずる隊及び対象者

   A 登録料の減免額
隊登録料,加盟員登録料,ともに50%を限度とします。
   B 申請手続き
「登録料減免申請書」の書式にならい,登録申請書に添付して申請する。
   C 承認
当該年度に限り適用される,単年度承認です。


(5) 指導者及びスカウトの移動

何かの事情で,指導者またはスカウトが転勤や転宅したことによって,スカウト活動と無縁となることは残念であり,またこの運動にとって大きな損失である。「転勤や転宅はやむを得ないことだから,残念だが仕方がない」と原隊の人々はあきらめるようなことをしないで,スカウト,指導者を問わず転勤や転宅先にある近隣の団を紹介し,移籍手続きを行なわせこの運動の継続を奨励するように努めたい



「加盟とは」

「加盟しようとする者が意思表示をして,審査の上,その地位にふさわしいと承認された時加盟員となり登録する」即ち,加盟とは申し出行為と承認行為の両方を含み,そして「ちかい」をすることは,審査条件の1つである。



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