幼稚園児の特性について

【BVS指導の参考にしてください】


幼稚園児の特性について(幼児期における発達と活動)

【はじめに】
 幼児期の特性と発達や発育は深い関わりがあり、発達の特徴や発育の時期をよく理解することが、特性を知る決め手となる。
 幼児期における発達・発育は非常にめざましく、またその発達速度や成長の度合いは個人差が大きい。常に指導者は、次の項目を指導目標としながら、活動の中で育成されるよう、導いていかねばならない。

【幼稚園児の特性を全般的に見れば】
(1)協調性(社会性)について
  3〜4才頃が発芽期
 (自己中心的)2〜3才 模倣期 一人遊びの延長時期・・・まねることから「やる気」が生まれてくる。
 (第一反抗期)4〜5才 自発期 2〜3人と共同遊びを始める時期・・・行動範囲が広がり、さらに「やる気」が増す時期
(第一反抗期)6〜7才 少年期 ルールを守りながらの共同遊びをする。・・・社会性が認識される時期。
(親の手から解放されたくなってくる時期)記憶力や概念の認識、思考力、創造力などが備わってくる時期。
 (好奇心旺盛な時期) 徐々にルールやマナーを守り、責任を持って行動しつつある時期。
 ※年長児は「自発期」→「少年期」の過渡期であるため、個人差が一段と大きく、すべてにおいて不安定な時期である。
(2)集中性
  興味や関心のある物事にひかれる。
  冒険心と好奇心が旺盛・・・無理に落ちつかせようとせず、興味や関心をひく方向へと導く。集中できる時間は次の通りである。
3才・・・・3〜5分
4才・・・・5〜10分
5才・・・・10〜20分

(3)安定性
  幼児期は情緒不安定期で感情の起伏が激しい。
好みや興味・関心なども日々変化する。
  (心)、(身体)、(頭=知能)のバランスが大切。

(4)創造性
  イメージからの思考期。空想の世界が広がる時期。
  創造力と想像力が結びつき、表現力がつく時期。
例えば、絵画、音楽、身体表現、ことばの表現など

(5)情操性
  やさしさ、感謝の心、感動する心が芽生え、子供の心の豊かさを数多く発見できる時期・・・人格形成期

(6)健康性
  身体的、精神的な発育や発達がめざましい時期。その発育や発達が助長されつつ、時には、保護したり、手助けも必要とする時期。
@子供達の好奇心(やる気、冒険心)と事故とは、常に隣り合わせである。
A子供の行動は大人が想像できないものであることを忘れてはならない。
B子供にとっては、何でも分かっているつもり、何でもできるつもり。
C大人がこんなことはできるだろう、分かるだろうと思っていることができない場合がある。分からないことも多い。

【3歳児の知能目標】
・見慣れたものを見て、その名前が言える。(日常生活用品など)
・自分が男か女かを区別できる。
・自分の名前が言える。
・簡単な形を区別する。(○、△、□など)
・短い文章を反復できる。
・大小が分かる。
・高い、低いが分かる。
・長い、短いが分かる。
・3〜4個のものを数えることができる。

【3歳児の活動】
・話し言葉が急激に伸びていく時期。語彙も800〜1000語となる。
・はおった程度の衣類は脱ぐことができる。ボタンのかけはずしのできない子供が多い。
・一人で手を洗う。しかし、手のひらしか洗わないので、汚れは十分落ちていない。
・一人で口をすすぐ。(ブクブクする程度)
・一人で排便する。(男児の場合は難しそう。ズボンを脱がすのに手伝うことが多い。ときどき失敗も見られる。)
・はなが出たとき、自分からはふかないが、言われればふく。
・食事の時、自分ではこぼさないよう努力しながら食べようとする。実際はこぼしていることが多い。
・水筒のお茶をコップにつぐ。こぼしながらも、努力してつぐことができる。
・簡単な挨拶をする。(おはよう、さようなら、いただきます、ごちそうさま、ありがとう)
・名前を呼ばれたら返事をする。
・指導者に話しかける。(持ち物や衣服などを見せながら話しかけてくる)
・ひとりごとを言いながら遊ぶ。(おもちゃなどで遊びながら)
・紙芝居などを友達と一緒にみる。
・指導者と一緒に順番を待つ。長くは待てない。割り込みも多い。
・友達と一緒に遊びたがる。しかし、互いに深い交わりはない。おもちゃなどを友達と使う程度で、単に一緒にいるだけのこともある。=平行遊び

【4歳児の知能目標】
・10〜13個のものを数えることができる。
・3つほどの命令などを実行する。
 例 @茶碗を所定の場所に置き
   A窓を閉め
   B本を持ってくる  など
・4ケタの数字を復唱する。
 例 記憶のトレーニング 電話番号など(4367,5734,・・・)
・形を組み合わせて、見本と同じ形をつくる。
○、△、□などの合成、分解が分かる。
・身近な道具や品物の用途が分かる。
 例 机・・・・・・勉強するところ
   電車・・・・・人を乗せる乗り物
   えんぴつ・・・絵や字を書く時に使う物
・5種類の通貨の名称を言う。
 1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉

【4歳児の活動】
・一人で服を脱いだり着たりする。大きなボタンならかけはずしができる。
・一人で手を洗い、ハンカチでふくことができる。
・一人で歯を磨いたり、うがいをする。ブクブクうがいはできるが、ゴロゴロうがいはじょうずにできない子もある。
・自分からすすんで日常の挨拶ができる。(おはよう、さようなら、いただきます、ごちそうさま、ありがとう)
・指導者の話している意味がだいたい分かる。
・自分の要求を相手に伝えられるようになる。(してもらいたいことや困っていることが言えるようになる。)
・だいぶん我慢強くなり、泣くことが少なくなる。  (転んだとき、困ったとき、喧嘩をしたとき)
・盛んに話のやりとりをする。友達同士のおしゃべりが盛んになる。  (みたり、聞いたり、経験したり、知っていることなどの話題が中心)
・テレビ、スライド、紙芝居などみんなで喜んで見る。
・順番がだいたい守れる。列に割り込むことが少なくなる。
・数人の小さいグループができる。(気の合うもの、顔馴染み、家が近い者)
・友達の行動が気になる。友達の行為を批判する態度も見られるようになり、告げ口も多くなる。
・物をもらったり、何かしてもらったときなど、「ありがとう」の言葉が自然にでるようになる。
・簡単なゲームなら、ルールを理解し、楽しむことができる。
・手伝いができる。また、したがる。
・自分のこと(自分に関係ある人や物など)を自慢する。
・競争などで負けたり、できなかったことに対して大変悔しがる。
・ごっこ遊びを好んでするようになる。  (ままごと、汽車ごっこ、買い物ごっこなど)

【5歳児の知能目標】 
・紐を結ぶ。(ちょうちょ結びなどは、まだできない。)
・絵や図を見て、欠けている部分や、おかしな箇所を指摘する。
・多い、少ないがわかる。(個数、量、広さ、など)
・位置関係を正確に表現する。左右の区別、前後関係、対称関係など。
・質問に対して、自分なりの考えを持ち、こたえることができる。

【5歳児の活動】
・一人で服を脱いだり着たりが、上手にできる。脱いだ服をたたむこともできる。
・手や足を洗う。そして、ふくことができる。石鹸を使い、汚れを上手に落とせるようになる。
・歯を磨いたり、うがいが上手になる。歯磨きは、まだ、磨き残しもあるので注意が必要。うがいは、ゴロゴロうがいもじょうずにできる。
・はなが出たら、一人でかむ。
・身近な人に日常の挨拶ができる。
・人の言うことが、理解できる。(大人言葉や内容が分かり始める。話の内容に対して、納得がいかない場合、理屈を言ったり、口答えする。)
・簡単な伝言を伝える。
・簡単なお使いができる。
・友達同士で助け合ったり、手伝いあったりする。  (大きな荷物を運ぶ。服の後ろのボタンを留めたり襟をなおしたりする。)
・友達と話し合いをする。(一つのことについて話し合えるが、自分の考えや意見ばかり話したがり、人の話は聞かない。)
・お話を喜んで聞く。(絵本、紙芝居、テレビ、ビデオなどから進歩し、絵や画面がなくても、簡単な話の物語は喜んで聞くようになる。)
・音楽をならすと自分たちで踊ったり歌ったりする。
・グループが次第に大きくなり、協力して遊ぶ。(3〜4人のグループが、10人以上の単位へと発展していく。班対抗の競技が楽しくなる時期)
・友達の行動を批判したり注意することが増える。(順番を守らなかったり、約束を守らなかったことについて)
・集中力が増し、一つの遊びを継続して続ける。持続時間も長くなる。
・友達同士で話し合って、いろいろなことを決める。(遊びのルール、当番、順番、約束事)
・当番などの役割を喜んでする。小動物の世話などもできるようになり、責任感が強くなる。
・じゃんけん遊びが盛んになる。
・遊びや活動によって、男女に分かれる。
・年下の子どもをかわいがり、面倒を見る。
・危険を知ったらすぐに指導者に知らせにくる。(危ない場所で遊んでいる子、怪我をしている子、喧嘩をしている子がいればすぐに知らせる。)
・交通規則を守る。
・自転車のコマ無しが乗れる時期。行動範囲が広がる。
・公共の場所の決まりを守る。  (ごみを捨てない。遊具を独り占めしない。草花を折ったり、傷つけたりしない。)
・見たこと、聞いたことを、ごっこあそびで表現する。
・身近な世の中の出来事に関心を持つ。(ニュースや話題になっていること)
・キャラクタ商品を欲しがったり、興味を持つ。
・テレビの影響を強く受け、言葉遣いや、乱暴な行動も現れる。
・知的な事柄に関心を持ち、知識も増える。
・数や文字への関心も深くなる。(個人差が大きく、ひらがなが読めない子もいれば、漢字を知っている子もいる。)
・時刻についても関心が現れる。(朝御飯の時間など、日常生活の時間に関心がある。しかし、時計が読める子は少ない。)


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